マスク中止の期間に大きな流行があれば当然こうした結果になる。歴史的に見ても非ランダム化の前後研究の結果はのちに否定されるものも多い。最近では敗血症に対するビタミンB、Cの効果に関して、前後比較で報告された死亡に対する相対危険0.13というすさまじい効果が、ランダム化比較試験で否定されたのは記憶に新しい。
■日本の脚気論争では有益だったが…
ただ前後比較が決定的なエビデンスであったという歴史的事実もある。脚気についての非ランダム化前後比較試験によって、洋食の導入前後で日本の海軍での脚気がほぼ根絶されたのがそれである。白米を主食とした和食を提供していた時期の軍艦龍驤では380名のうち脚気の死亡が25名出たのに対し、パン食を主食とした洋食の提供によってほぼ同じ航路をたどった軍艦筑波では330名のうち脚気による死亡が0名であった。
医療だけでは幸せになれない