医療だけでは幸せになれない

繰り返される学級閉鎖 …いまこそマスク着用の有用性についての科学的検証を行うべき

科学的検証が必要(C)PIXTA

 しかし残念ながら日本でもそのような研究は行われなかった。行われない中で、マスクの着用は国からも勧められず、多くの学校でマスクを着用しなくてよいという対応によって、このボストンでの研究と同様、マスク着用が有効か否かハッキリしないまま大きな流行を来している。

 もちろんそれに対しても、それはマスク着用と関係なく、新たな流行が起きただけだと言われれば、それに対して明確に反対することもまた困難である。ただ、脚気に対する歴史的な事実もある。そのあたりを含め、もう少し学校でのマスクの着用について考えたい。

(注)クラスターランダム化比較試験:通常のランダム化比較試験では個人個人を治療群と対照群に割り付けていくが、それを個人でなく、施設ごと、この研究では学校ごとに割り付けるランダム化比較試験である。個人個人へのランダム割り付けが困難な場合に有効な方法である。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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