医療だけでは幸せになれない

繰り返される学級閉鎖 …いまこそマスク着用の有用性についての科学的検証を行うべき

科学的検証が必要(C)PIXTA

 しかし、非ランダム化の介入研究や観察研究での報告は多数ある。そのうちのいくつかの研究を見てみよう。

■歴史的に否定されることの多い非ランダム化前後比較試験

 まず非ランダム化前後比較試験である。米国・ボストンで段階的に学校におけるユニバーサルマスキング(人と接する状況では常にマスクをすることを原則にする)を中止していく際の、生徒と教師のコロナ感染をマスク中止前後で比較した研究である。

 マスク中止の前後比較においては1000人当たりの感染が44.9(95%信頼区間 32.6~57.1)増加したという結果である。この感染の増加は教員においてより顕著で、教員1000人当たりの感染が81.7(59.3~104.1)増加、生徒は39.9(24.3~55.4)増加という結果である。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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