「心筋梗塞発症後に痛みがあると長期予後が悪い」という結果に対する理由はほかにも考えられます。近年のカテーテル治療では、血管内に留置する金属製のステントに薬剤を塗った薬剤溶出性ステントが使われています。このタイプのステントに対してアレルギーのような反応が生じ、治療前とは違う痛みを治療後に訴える患者さんが増えているのです。
さらに、薬の使い方が原因になっている可能性もあります。欧米では心筋梗塞の治療後、動脈硬化を抑制するためにLDLコレステロールを低下させるスタチンという薬を大量に使うケースが多く見られます。スタチンには筋肉痛や筋肉のこわばりといった副作用があって、痛みを訴える人も少なからずいるのです。そうした人は痛みをコントロールするために服薬を中止したり、減薬して対処しがちです。すると、結果的に動脈硬化の抑制効果も望めなくなり、予後の悪化につながります。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」