第一人者が教える 認知症のすべて

認知症予防プログラム…歌いながら左手と右手でそれぞれ別の動きをする

写真はイメージ

 ある日の「健脳カフェ」の一場面です。

「左手はイチ、ニ、サンで三角形を描いてくださいね。小さくてもいいですよ。そして右手はイチ、ニ、イチ、ニと(上下に)動かしてくださいね。どちらか一方ずつだとできちゃうんですけど、両方一緒にやるとどうかな。ゲームだと思ってやってみましょう!」

 日本音楽健康協会の音楽健康指導士の方がにこやかに話しかけると、椅子に座った参加者の方が「できるかしらぁ」「難しいわぁ」と笑いながら、両手を動かし始めます。日本音楽健康協会とは、「うたと音楽」を活用し、高齢者の健康づくりなどに取り組む一般社団法人。音楽健康指導士は、同協会の資格になります。

「では、歌に合わせてやりましょう!」

 唱歌「故郷」の「うさぎ追いし、かの山~、小ブナ釣りし、かの川~」の音楽が流れ出し、みなさん、一緒に歌を口ずさみながら、左手では「イチ、ニ、サン」の三角形、右手では「イチ、ニ」と指揮棒を振るような動きをします。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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