30年ぶりの肥満薬の正体は2型糖尿病用注射薬…11月22日から公的保険の対象に

(C)choi dongsu/iStock

「GLP-1は『グルカゴン様ペプチド-1』と呼ばれる物質で、インクレチンと総称されるホルモンの一種です。膵臓のβ細胞に働きかけることでインスリン(血糖値を下げるホルモン)の合成や分泌を促す一方で、膵臓のα細胞に働きかけることで血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制します。つまり、この薬は二重の意味で血糖値を下げるのです。また、胃からの排泄抑制による満腹感の増大、中枢性食欲抑制による食欲の低下をもたらします。そのことで血糖を下げつつ、やせることもできるのです」

 しかも、このGLP-1受容体作動薬は新たな知見が次々と明らかになっていて、心臓病の予防効果や総死亡率の低下を示す研究結果も報告されつつある。

 ただし、薬である以上、一定の確率で副作用が発生する可能性がある。過度な摂食制限を併せて行えば、重大な低血糖の発生リスクがあり、GLP-1受容体作動薬には、吐き気や嘔吐などの胃腸障害の副作用が知られている。適応のない使用は厳に慎むべき薬であることは覚えておこう。

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