舌がんの切らない治療「選択的動注併用放射線療法」 体験したシェフに聞いた

舌を半分以上切ると嚥下機能にも影響

 息子の存在も大きかったですね。扁平苔癬が見つかった時、息子は小1でしたが、「お父さんはがんになるかもしれない。長く生きられないかもしれない」と伝えていたのです。するとしばらくして息子は「お父さんの病気を治せる医者になる」「東大医学部へ行く」と言い出した。じゃあ一緒に頑張ろうと、2人で勉強してきたのです。手術は息子の中学受験と同じ年。話せなくなったら、息子への授業もできなくなる。

 妻とともに慌てて「切らずに済む治療法」をインターネットで探しました。そうやって出会ったのが不破信和先生です。当時先生が勤務していた伊勢赤十字病院(三重県)へすぐ飛び、「選択的動注併用放射線療法」の説明を受けました。主治医からは重篤な副作用があると聞いていましたが、不破先生はそれをクリアする方法を見いだしており、検査後「僕なら治せる」と言ってくれた。待合室で、九州中央病院へ手術を断る電話をしました。

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