Dr.中川 がんサバイバーの知恵

三井住友FG太田社長は決算発表欠席から11日後にがんで“ピンピンコロリ”

8年前に肺がんで亡くなった愛川欽也さん(C)日刊ゲンダイ

 8年前に肺がんで亡くなった俳優の愛川欽也さん(享年80)は、番組出演記録1000回を達成して降板すると、わずか1カ月後に息を引き取っています。番組に穴をあけないように、仕事と治療をうまく両立させながら、最期への準備をしていたことがうかがえるでしょう。

 こういうことができるのが、がんで亡くなるメリットです。完治が難しい状況になっても、患者が主役として振る舞うことができます。

 では、そのために必要なことは何か。がんが進行すると、離れた臓器に転移します。治療は抗がん剤が中心になりますが、転移に使われる抗がん剤は副作用が強く、入院になることが珍しくありません。そうすると、仕事や生活がストップする可能性が高い。生活の質を重視する人には、つらい治療です。

 愛川さんは肺がんが見つかったとき、すでに末期だったそうですが、仕事に穴があく入院を伴う治療を拒否。通院で受けられる放射線を選択したといいます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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