がんと向き合い生きていく

30年前にボリビアで出会った少年はいまどうしているだろうか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 前回に引き続き、30年ほど前にボリビア外科学会に招待されて出席した時のお話です。

 ボリビアのサンタクルス市を訪れた際、日本から同行した○○先生と私は空軍基地のようなところに連れていかれ、小型の飛行機に乗せられました。前の席が2つ、後ろが2つで4人乗りだと思われたのですが、さらに、後ろの尾翼にかかる少し荷物が置けるような所にも無理やり1人が乗り込みました。

 出発した飛行機は、ある高さになると急降下し、その後に急上昇する動きを何回も繰り返しました。きっと、重量オーバーなのです。落ちそうになった時、川が見えてきました。同乗者が「アマゾン川」だと教えてくれました。

 約40分で広い草原に着きました。そこからジープで砂利道を20分くらい走り、牧場に着きました。そこではなんと、牛が1頭、皮をそがれ、あたかも布団を干しているように吊るされていました。その肉を焼いて食べるようなのです。ビールも用意されていました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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