上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

冬の朝のウオーキングは心臓が危ない…リスク因子が揃っている

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 ただでさえ心臓トラブルのリスクがアップする寒い季節に、より気をつけなければならないのが早朝のウオーキングです。先ほどお話ししたように、朝、起床して、あまり時間をおかずに暖かい室内から寒い屋外に出ることで血圧は急上昇します。

 そのうえ、朝は、休息やリラックスしているときに優位になる副交感神経から、活動時や緊張状態で優位になる交感神経へスイッチが切り替わるタイミングなので、この時間帯にウオーキングして体を動かすと急に交感神経が活性化することになります。すると、アドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンが過剰に放出され、血管が収縮して血圧がさらに上昇したり、心拍数が増加します。その分、心臓の負担は増大し、心筋梗塞などの心臓血管疾患を起こして突然死を招くリスクが高まるのです。心臓発作は、早朝や起床直後に起こりやすいというデータもあります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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