たとえば、脳や心臓の大きな手術が終わってから、患者さんを寝かせきりにしておくと、廃用症候群になって全身状態は衰えます。75歳以上の高齢者になると、2週間以上の安静臥床は回復のゴールを低下させるうえに、自力で回復するのが難しい状態に陥ります。
ですから、廃用症候群を防いで早く回復させるためには、治療後は早く起こして、長時間の寝かせきりにはせず、「起こす」「座らせる」「立たせる」「歩かせる」「コミュニケートする」ことが重要になります。ただ、先ほども触れたように急性期病院は病気の治療がメインですから、その患者さんが一日をどのように過ごせばベストなのか、24時間の中でどれくらい起きて、座って、立って、歩いて……といったリハビリを実践すればいいのかについて考えたり、取り組む余裕がないのが現状です。そのため、長期間安静のままにして廃用症候群となり、そのまま寝たきりになる患者さんが出てしまうのです。
正解のリハビリ、最善の介護