正解のリハビリ、最善の介護

「廃用症候群」は適切なリハビリでどこまで回復するのか?

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 廃用症候群のリハビリでは、まず最初の2週間が勝負で、1カ月でかなり改善します。就寝時間以外はベッドには戻さず、座らせる、立たせる、歩かせる、コミュニケートするを繰り返すことで、この期間に全身の状態がグッと上がってきます。その後、2カ月目くらいまでは上昇が緩やかになりますが、2~3カ月までの期間で再び状態が上がっていくのが多く見られるパターンです。廃用症候群で寝たきりだった患者さんも、トータル3カ月の適切なリハビリで身の回りの簡単な作業ができるようになり、留守番できる状態で退院して自宅に帰ることが可能になります。

 本来であれば回復して元気になって元の生活に戻れる患者さんが、廃用症候群で寝たきりのまま亡くなってしまうケースも起こりえます。そんな不幸な事態を減らせるのが正解のリハビリなのです。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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