治療そのものはうまくいき、脳にも大きな損傷は見られないのに、廃用症候群によって元気を取り戻せず、「人間力」を回復できない--。かつて脳外科医だった私はそんなケースを何度も目にして、歯がゆい思いをしました。しかし、廃用症候群で動けなくなっている患者さんは、適切なリハビリによって機能と能力を取り戻せる可能性があります。80歳を超えると廃用症候群による全身の衰えの回復度合いは悪くなりますが、70歳代まではかなり取り戻すことができるのです。80歳以上の患者さんは急いで起こして動かさないといけませんし、手術前のリハビリが必要になります。2週間以内にリハビリ病院への転院ができるスピード感が予後を左右します。
廃用症候群で当院に入院される患者さんには、初日から座らせる、立たせる、歩かせる、コミュニケートするリハビリを行います。もちろん状態を確認しながらの実施で、だいたい1週間、長くても2週間ほどで座る、立つが問題なくできるようになります。
正解のリハビリ、最善の介護