Dr.中川 がんサバイバーの知恵

経済評論家・山崎元さん永眠…食道がんは手術するなら化学放射線療法の後がいい

分かりやすい経済解説で人気だった(22年6月撮影)/(C)日刊ゲンダイ

 胃や腸などの臓器の表面は漿膜で覆われていますが、食道には漿膜がないため、食道にがんができると、早期にリンパ節や大動脈周辺などに転移しやすい。厄介ながんなのはそれも一因ですが、化学放射線療法ならステージ4aまで根治が期待できます。

 山崎さんと同じくらいの時期にステージ3の食道がんが判明した女優の秋野暢子さん(66)は、化学放射線療法で治療され、仕事に復帰されています。胃も食道も残っているので、今は痩せた印象もありません。

 食道がんのリスクは、飲酒と喫煙です。たばこは吸いませんが、酒飲みの私は人ごとではありません。飲酒後の口の中は、発がん物質のアセトアルデヒドの血中濃度が10倍に上昇するという報告もありますから、お酒はほどほどにして、歯磨きを心掛けています。

 山崎さんのご冥福をお祈りします。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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