第一人者が教える 認知症のすべて

「肥満+握力低下」で認知症のリスクが高くなる

肥満に握力低下を併発していると…(C)日刊ゲンダイ

■「体を動かして」と言っても聞いてくれない老親。そこで提案した方法は…

 体を動かすことは肥満対策だけでなく、サルコペニア対策にも有効。ひいては、認知症対策に役立ちます。

 サルコペニアのことを新聞記事で知って以来、70代後半の両親のことが心配になったと話すAさん(49歳)。昨年の正月、西日本の実家に帰省した際、両親の歩行量の少なさを目の当たりにし、より心配が増したそうです。

「実家がある場所は完全な車社会で、歩いて15分ほどのスーパーへ行くのにも車です。『近いんだし、歩いて行ったら』と言っても『そんなん、無理やで』の一点張りです」(Aさん)

 夏のお盆に帰省した時、Aさんが歩いてスーパーに行き、「確かに、荷物を抱えて歩いて帰るのは無理だ」と痛感。では散歩はどうか、と両親を誘うも、反応はイマイチ。実家は住宅地の中にあり、Aさん自身も「景色を楽しめるわけじゃなく、散歩して楽しいところじゃないな」と感じていたので、「外歩いて何がオモロイねん」との両親の言葉に何も返せなかったそうです。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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