ワンランク上の健診「脳ドック」(2)目的は「隠れ脳梗塞」の発見

「隠れ脳梗塞」は40代ででき始め、加齢とともに増えていく

 なかには複数の隠れ脳梗塞ができる人もいます。小さくても脳梗塞ですから、血管の詰まった先には血流が届かず、脳細胞が死んでしまいます。それがいくつもできると、次第に記憶力や判断力が低下したり、言葉が出にくくなったり、指先を動かしにくくなったりしてきます。そして最終的には「血管性認知症」と呼ばれる病態へと進んでいくのです。

 隠れ脳梗塞ができる原因としては、高血圧、糖尿病、脂質異常症、運動不足、喫煙、肥満、ストレスなどがあがっています。脳ドックでは、一般的な血液検査も行いますから、原因のいくつかは見つかることでしょう。

 隠れ脳梗塞は、一度できたら二度と元には戻りません。しかしもっと悪くなるのを予防することは可能です。もし脳ドックで見つかったら、専門医の指導のもと、生活習慣病を治療するなどして、養生するべきです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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