高齢者の正しいクスリとの付き合い方

避難所ではなるべくトイレに行きたくないなら…利尿剤の中止も考慮する

能登半島地震で仮設住宅の建設も進むが…(C)共同通信社

 できるだけトイレに行きたくないときに人はどうするのかというと、水分を取らないようになります。水分を取らないこと自体が血栓症などさまざまなリスクになりますし、心不全や高血圧などで利尿薬を服用している場合には特に注意が必要となることがあります。それは「脱水」です。

 脱水を起こさないためにはしっかり水分を摂取することが重要なのですが、かといって衛生状態の悪いトイレを頻繁に使用するのも感染症のリスクとなります。衛生環境がある程度改善されるまでは、利尿薬の服用を中止するというのも考慮してよいかもしれません。

 避難所での生活では、食生活も普段とは大きく変わります。支援物資で届けられる食事の多くはパンやカップ麺、おにぎりなどの炭水化物が主体です。また、避難所生活では食事摂取量が減るケースもあります。糖尿病でクスリを使っている場合には、そういった食生活の変化を考慮しなければならず、特に低血糖には注意が必要です。そのため、低血糖リスクの高いクスリの服用・使用を中止することも考えなければなりません。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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