一生見える目をつくる

子供の近視の進行を60%軽減させる「低濃度アトロピン療法」

成長期の近視は放っておくと進行するので親の責任で管理を

 そこで、アトロピン点眼薬を100倍に薄めた低濃度アトロピン点眼薬がつくられました。超低濃度で点眼することで副作用をほぼ回避しながらも、近視の進行抑制効果があると実証されたため、国内でも広く使用されるようになってきています(必ずしも副作用が出ないということではありません)。

 低濃度アトロピン療法の点眼薬は1日に1度、就寝前に1滴を点眼。この治療法の対象となるのはおおよそ6~17歳で、軽度または中等度の近視の方(マイナス1D~マイナス6Dが該当します。病院で視力検査を)。

 前述のオルソケラトロジーとの併用で、さらに近視の進行抑制効果が高まることもわかっています。もちろんどちらかのみでも抑制効果はあるのですが、私は併用をおすすめしています。

 成長期の近視は放っておくと進行します。軽度から中等度の近視であれば、できるだけ前述の治療法を早く始め、成人になるくらいまで続けるのがいいと思われます(近視は17~18歳くらいが進行のピークなのです)。親の責任としても18歳まではなるべく近視が進行しないように、視力の管理をしてあげる必要があります。

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荒井宏幸

荒井宏幸

クイーンズ・アイ・クリニック院長。医学博士・眼科専門医。医療法人社団ライト理事長。みなとみらいアイクリニック主任執刀医。防衛医科大学校非常勤講師。

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