上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心房細動の新治療「パルスフィールドアブレーション」の期待と課題

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 こうした試験結果を受け、日本でも2024年から3種類のパルスフィールドアブレーションが導入されることが決まっています。日本でも、従来のカテーテルアブレーションでは85%程度だった初期成功率を上げられるのか、20%前後といわれる再発率を改善できるのかなど、課題はいくつかありますが、機器が進歩しているのは間違いありません。

 かつてカテーテルアブレーションの分野では、治療効果が疑問視されていました。心房細動を起こす原因になっている部分を特定しにくかったことが大きな原因です。しかし、近年の技術向上によって異常を起こしている部分を探し当てる「マッピング」の精度が格段に上がり、原因になっている部分を狙って焼灼できるようになったことで、治療成績もアップしています。今回のパルスフィールドアブレーションにも、最新の3次元マッピング技術が搭載されているといいます。

4 / 5 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事