第一人者が教える 認知症のすべて

高齢の両親に旅行をプレゼント…「お任せ」ではない自力で行くスタイルで

写真はイメージ

「やり過ぎかと思いつつ、そこまでしないと、私が落ち着かなくて」(女性)

 旅行当日、母親から日間賀島のタコのシンボルマークとフグの料理を写した写真がラインで届きました。2日目の夜には、帰阪した両親から「ほんまに行ってよかったわ。楽しかったわ」という電話があり、安心して体の力が抜けたような気分になったそうです。

 後日、日間賀島好きの女性は両親と電話で「あそこの景色良かったやろ。船も気持ちいいやろ」など、“日間賀島話”に花を咲かせました。

 前述の通り、年齢を重ねると、新しいことへのチャレンジがおっくうになりがちです。一方で、新しいことへのチャレンジは、それが楽しいものであればあるほど、脳を活性化させます。そしてその楽しかった時間を思い出し、おしゃべりをすることもまた、脳の活性化につながります。

「両親の年齢を考えると、元気に旅行できる機会はそう多くないかもしれない。今度は旅行の計画の段階から、両親に加わってもらおうかな」と女性が話してました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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