第一人者が教える 認知症のすべて

高齢の両親に旅行をプレゼント…「お任せ」ではない自力で行くスタイルで

写真はイメージ

 そして、移動手段。大阪から新幹線のこだまで行くと安く済みますが、やはりそのお得なチケットはネットからしか申し込めず、女性が代行。チケットレスなので、両親が持つICカードと連携させる手続きも女性が行いました。

 何が大変だったかと言って、ツアーコンダクターが同行する“全てお任せ”の旅行しかしたことがない両親に、自力で現地まで行ってもらい、かつチケットレスという、これまた未経験の方法を会得してもらうことでした。

 どうやって行けばいいか、どの電車に乗ればいいか。東京と大阪と住まいが離れているため、すべて電話でのやりとりです。年齢を重ねると、新しいことへのチャレンジがおっくうになりがちですし、理解力も衰えます。女性は電話口で説明すればするほど、「お父さんとお母さん、自分たちだけで本当に行けるんだろうか」と不安が高まってきたといいます。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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