子供のアトピー性皮膚炎(下)生後すぐからの治療でアレルギーの「連鎖」を食い止める

どうせ治らないと諦めないで

 アトピー性皮膚炎の症状自体がつらいのに加え、厄介なのは、一連のアレルギー疾患発症の「入り口」になることだ。アレルギー疾患から食物アレルギー、喘息、鼻炎へと連鎖していく可能性が高い。

「これらをアレルギーマーチと呼び、乳幼児のうちにアトピー性皮膚炎をしっかり治療することで、次のアレルギー疾患を起こしにくくなります」(大塚医師)

 アトピー性皮膚炎の治療の基本は、ステロイドの塗り薬と保湿剤だ。ステロイド外用薬は正しく使えば副作用の心配がないが、ステロイド外用薬へ誤った認識を持つ親もいる。

 国立病院機構三重病院臨床研究部/アレルギーセンター臨床研究部長の長尾みづほ医師(小児科医)は、こんな症例を経験したことがある。生後6カ月の男児が救急搬送されてきたが、親が入院を拒否。説得しているうちに男児が心肺停止となった。幸いにも救命措置で蘇生したが、この男児は全身乾燥が強く、顔から全身へ広がるかゆみを伴う皮疹があり、アトピー性皮膚炎を疑う症状があった。

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