子供のアトピー性皮膚炎(下)生後すぐからの治療でアレルギーの「連鎖」を食い止める

どうせ治らないと諦めないで

 前述の通り、基本的なアトピー性皮膚炎の治療はステロイド外用薬と保湿だが、これらで症状の改善が見られない場合、かつては選択肢が限られていた。しかし昨年9月、重症のアトピー性皮膚炎にも有効な生物学的製剤(一般名「デュピルマブ」)が、日本で初めて生後6カ月から使えるようになった。

「ステロイド外用薬を頑張って塗っているけれど、気を抜くとすぐに悪化して日常生活に支障を来してしまうような重症のお子さんがいます。そんな患者さんも、注射薬のデュピルマブを使うことで劇的に改善して、『肌がスベスベになったね! 良かったね!』と言われることで治療を頑張ってくれます。注射の痛みの問題が子どもでは負担になりますが、続けていると、誰かに押さえてもらわなくても注射を頑張れるまで成長します」(長尾医師)

 使用できる年齢は薬により異なるが、デュピルマブと同様に重症のアトピー性皮膚炎患者さんに適応のある内服薬や、ステロイドとは違うメカニズムの外用薬なども、小児で使えるものがいくつかあり、選択肢が広がっている。

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