中医学において過敏性腸症候群は、「肝」と「脾」と呼ばれる臓器の不調が原因と考えます。肝は自律神経をつかさどる臓器で、緊張、不安、ストレスがかかると真っ先にその影響を受けてバランスを崩します。肝の働きが悪くなると、中医学で自律神経と重なるとされる「気の巡り」が悪くなり、イライラ、怒りっぽい、不眠などの症状が引き起こされます。
中医学では「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の五臓は、互いに協力して体を機能させていると考えます。そのため、ひとつの臓器に不調が現れるとほかの臓器にも影響を及ぼします。肝の弱りによる影響を最も受けやすいのは、脾。飲食物の消化・吸収をつかさどる臓器です。過敏性腸症候群は、肝の不調が脾のこれらの機能を抑圧しているために起こるのです。
この場合、脾の働きを整えるだけではなく、根本の問題となる肝をケアする食養生が重要になってきます。症状を改善するには、まず肝の働きをスムーズにする食材を取り入れましょう。
健康長寿に役立つ高齢薬膳