第一人者が教える 認知症のすべて

認知症の原因物質の蓄積の有無がわかる「アミロイドPET検査」どう活用すべきか

アミロイドPET検査はレカネマブの投与が必要かどうかを判断する目的がある
2023年末から健康保険適用に

 2023年12月20日から、アミロイドPET検査が保険適用になった──。こんなニュースを目にした方も多いでしょう。保険適用なら自分も受けてみたいと思った方もいるかもしれませんね。

 アミロイドPET検査は、すべての方が保険適用で受けられるのではありません。次の条件に該当した方のみとなります。

・アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症が疑われる患者さんで、レカネマブの投与が必要かどうかを判断する目的がある
・アミロイドβの蓄積を調べる別の検査、脳脊髄液検査を受けていない

 レカネマブは「抗アミロイドβ抗体」と呼ばれる薬で、脳内に蓄積したアミロイドβと結合し、減らす働きがあります。これまで対症療法しかなかったアルツハイマー病に対して、進行を遅らせる初の画期的な薬として、昨年の承認以来、一層注目を集めています。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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