老親・家族 在宅での看取り方

ささいなことでイライラして怒ってしまう…自己嫌悪する患者さん

病気の影響で性格が変わってしまうことも…

 この患者さんに限らず、認知症や統合失調症など病気の影響で性格が変わってしまうことは珍しくありません。時に暴言を吐かれたり、いわれのないクレームを受け、それにより職員が精神的に疲労することもあるものですが、一方で、この患者さんのようにご本人が反省し、逆に自己嫌悪に陥り精神的に落ち込んだりすることもあるのです。

 もちろん私たちは、そんな患者さんの精神状況も含めて、これもまた病気の断面であることを理解しつつ対応するように心がけています。そうすることがスタッフの労働環境を守り、ひいては患者さんのQOL(生活の質)の向上にもつながるからです。

 ですが現実は、人手不足かつ賃金アップがなかなか見込めず、決して労働環境が良好とはいえない介護・医療業界にあって、やらなければならないことや責任の多さに、理不尽な思いをしストレスをため込んでいるスタッフがいる現状があります。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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