どうなる! 日本の医療

戦略医療特区構想にほころび!?

「今開かれている県議会の代表質問でも、この話題が取り上げられました。確かに患者数の割合が多い前立腺がんが先進医療Aからはずれれば、施設運営に大きな混乱が生じかねないとの懸念があります」

 このため、神奈川県知事が、重粒子線によるがん治療が引き続き先進医療Aにとどまるよう、8月28日に厚生労働大臣、9月7日に内閣官房長官へ要望を行うなどの努力が行われている。

「神奈川県全域は、安倍首相が鳴り物入りでスタートさせた、医療における国家戦略特区に指定されています。難治性のがんの創薬、神経症の診断薬の開発など日本の医療開発拠点なのです。iROCKはその中核的存在と言っても過言ではありません。それがつまずけば、医療特区構想全体にも大きな影響が出ることになりかねない。ぜひ、激変緩和措置を取ってもらいたいものです」(神奈川県政関係者)

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。