独白 愉快な“病人”たち

元サッカー選手 杉山新さん(34) 1型糖尿病

杉山新さん(C)六川則夫/ラ・ストラーダ

 Jリーグ03年シーズンの終盤、それまでにないだるさに襲われました。高熱や鼻水が出るでもなく微熱程度なのですが、とにかく全身がだるい。

 医者は特に検査もせず、あっさり風邪と診断され、栄養剤を点滴されました。しかし、良くなるどころか、夜になると起きていられないほどの倦怠感に襲われたのです。

 所属していたヴァンフォーレ甲府は、Jリーグ2部で昇格争いから脱落し、オフには選手の入れ替えが予想されます。早く復帰してアピールしたい。病気で休んでいるわけにはいきません。

 ところが、病院を替えても診断と治療は変わらず、一向に治らない。そこで、クラブ関係者に紹介された病院で検査を受けました。

「あなたは膵臓の細胞が破壊されて、血糖値を下げるインスリンが分泌できなくなっています。つまり、『1型糖尿病』です。血糖値の正常値は70~100㎎/dlなのに、あなたは1000㎎/dl。普通の10倍です」

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