家計簿を見れば病気がわかる

年収別保険医療支出 貧乏と金持ちの差は「2~8倍」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■低所得世帯ほど保健医療の負担が重くなる

 低所得層は保健医療への支出も低く、所得とともに増える傾向が見られます。所得200万円未満の世帯の保健医療への支出は約7万1000円。対して1500万円以上の世帯では約25万円。実に3.5倍の差になります。とはいえ、所得格差は7倍以上なので、低所得世帯ほど収入に対する保健医療の負担が重くなります。

 病院への支払いも、低所得層ほど低い傾向が見られますが、年収250万円以上では、あまり大きな格差は見られません。年収1250万~1500万円の世帯が、もっとも多く医療費を支払っています。この辺りの層は、年齢が高い分だけ医療費もかさむのでしょう。しかし、200万円未満の層と比べても、医療費の負担は2倍にしかなりません。

 歯科医療費でも、収入に応じて金額が増える傾向が見て取れます。こちらは年収1500万円以上の層が4万円近くも使っているのに対して、200万円未満の層では5000円ほどにとどまっています。歯科では混合診療が認められています。とりわけ歯冠などは、どの材質を使うかで値段はピンキリです。その差が表れているのかもしれません。

 もっとも、全体的に見て医療費や歯科医療費の格差は、所得差ほどには違っていません。では、高所得層は何に金を使っているのでしょうか。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。