明細書が語る日本の医療

大腸がん手術の病院は「結腸」「直腸」とも首都圏に集中

首都圏希望の地方患者は数カ月待たされる(C)日刊ゲンダイ

 大腸がんの手術件数の多い病院を、DPC公開データから抽出して表にまとめました。元のデータが「結腸(盲腸・虫垂を含む)」と「直腸(肛門を含む)」に分けて集計されているため、表もそれに従いました。残念ながら、開腹手術か腹腔鏡手術かといった分類では集計されていません。それでも「結腸がんに強い病院」「直腸がんに強い病院」は分かります。なお、内視鏡による上皮内がんのポリープ切除術・粘膜切除術は、数字に含まれていません。

 他の臓器でも登場するような有名病院が名を連ねています。「がん研究会有明病院」(写真)は結腸・直腸の両方でトップに立っており、大腸がん手術のトップとしての地位を不動にしています。「国立がん研究センター中央病院・東病院」「東京都立駒込病院」「虎の門病院」「埼玉医科大学国際医療センター」「昭和大学横浜市北部病院」など、大腸がんに強い病院の多くが首都圏に集中しています。首都圏以外では、大阪、広島、静岡に手術件数の多い病院がありますが「大腸がんは首都圏」という構図を崩すまでには至ってません。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。