さらに厄介なことに、なかなか決定的な治療法がありません。利尿剤を増やしたり、塩分制限をしたりといった対処をするしかないのが現状です。ただ、心房細動は早期に発見すれば、循環器内科が行う「カテーテルアブレーション」という治療ができます。太ももや肘からカテーテルを挿入し、不整脈の原因となっている部分に高周波の電気を流して焼き切る治療で、完治も望めます。
ですから、外科医は手術をするだけで終わりではなく、術後もしっかりケアを行わなければなりません。心房細動が見つかったら、早い段階で不整脈治療を行う循環器内科のチームに患者さんを委ねる必要があるのです。循環器内科との“キャッチボール”がますます重要になってきているということです。
■患者さんを追いかけデータの蓄積を
心臓の手術を受けた後に心房細動が起こりやすくなるのは、手術で行う処置そのものが影響しているといわれています。とくに心臓にメスを入れる手術では心房に管を挿入するため、それが触れた箇所がヤケドの痕のような状態になり、不整脈の原因になるとみられているのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」