「がん細胞の遺伝子分析をするには、現状では生検でがん細胞を採取しなくてはいけません。患者さんの侵襲も少なくなく、部位によって必ずしも取れるとは限りません。それで血液検査で遺伝子異常のタイプを調べる研究が進んでいます。血液中には壊れたがんのDNAが含まれていて、100タイプくらいの遺伝子異常が分かります。この検査は、肺がんの一部では保険適用になっています」
土原医師は、もともとは消化器外科医でスタートしたが、臨床医として当時のがん治療の限界を感じた。手術しても、抗がん剤を使ってもダメ、どうしたら進行がんが治るのか。
それで肝炎のゲノムの研究をしようと、大学院に進学したのが基礎研究の道に進むきっかけだったという。
「この10年で精密医療の恩恵が最も大きいのは肺がんです。その成果を他の臓器のがんにもどんどん応用していきたいと思います」
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