Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

安藤忠雄さんはがんで臓器を5つ摘出しても1日1万歩生活

安藤忠雄さん(C)日刊ゲンダイ

 米国立がん研究所によると、運動をしている人はしていない人に比べて、大腸がんのリスクが平均で40~50%、乳がんのリスクが30~40%低下することも判明。逆に運動不足だと、子宮がんや前立腺がん、肺がんのリスクが上昇することを関連づける疫学調査もありますから、運動はがんを抑制する要素といっていいでしょう。

 がんの成因のひとつとして、活性酸素によって遺伝子が傷つくことが考えられています。しかし、定期的な運動をしている人は、活性酸素から身を守る作用がアップ。さらに、持久的な運動が、がんの発生や増殖を抑える免疫機能を高めるとする報告もあります。

 安藤さんの「1日1万歩生活」は、これらのデータを裏づけるもの。一般には、ウオーキングなど汗がにじむ程度の運動を週2、3回以上、1日30分以上続けると効果的です。皆さんも生活に取り入れてください。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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