Aさんのお話を聞いていると、気づけば抗がん剤の点滴袋が空になっていました。ベッドのそばの花瓶には夕日が当たり、真っ赤なナンテンの実が光り輝いていました。
抱えている思いを話し終わり、ようやく笑顔が見られたAさんに、私はこう言葉をかけました。「B先生は抗がん剤のやり方を工夫してくれているし、治療が効くようにみんな願っていますよ。病院のスタッフはだれもAさんを嫌っていないし、応援していますよ」
そして、次の週の再会を約束して病室を出ました。
がんと向き合い生きていく