がんと向き合い生きていく

「あと1年の命」が2年ももった。もういいでしょう? 担当医の言葉に愕然

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 知り合いの眼科医(45歳)から、「婦人科がんで治療を続けている70歳の母親の悩みを聞いてほしい」との依頼がありました。後日、母親のAさんが眼科医の息子さんと一緒にセカンドオピニオンとしてお見えになりました。

 Aさんは少し下肢にむくみはあったものの、元気そうでした。ただ、2週間前に外来診察を受けた際、担当医である某がん拠点病院の婦人科部長からこう言われたというのです。

「治療を始める前から『1年の命です』とお話ししましたよね。それが2年ももったのです。薬も効かなくなったし、もういいでしょう?」

 実際には、どのような雰囲気で話されたのかは分かりません。しかし、そう告げられたAさんは愕然として、「生きるのを諦めなければならないのでしょうか?」と思い悩んで相談に来られたのです。

 そのがん拠点病院からの診療情報提供書を見ると、確かに、がんに対する標準治療はやり尽くされていました。この1年間は入院することなく、抗がん剤の副作用による軽度の苦痛以外は元気で過ごせたようでした。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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