Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

大橋純子さん公表の食道がん 化学放射線療法なら通院でOK

大橋純子さん(C)日刊ゲンダイ

 負の連鎖を断ち切るには、仕事を続けながら周りに囲まれて生活するのが一番。仕事と治療の両立が大切なのですが、「がん対策に関する世論調査」によると、両立が難しい理由として、22%が「職場が休みを許すか分からない」を挙げています。

 治療とはいえ、仕事を休んで職場に迷惑をかけてしまった……。そんな後ろめたさが、がん患者を辞職に駆り立てるのかもしれませんが、治療と仕事は両立できます。そのためには、治療法の選択が大きな意味を持ちます。特にカギを握るのが放射線です。

 放射線は、食道、頭頚部、肺、乳腺、前立腺、子宮頚部など多くのがんで、手術と同等の治療成績です。手術は、入院を余儀なくされますが、放射線は数分で済み、通院で受けられます。食道がんで行われる抗がん剤と放射線を組み合わせた化学放射線療法も通院でOKです。がんと診断されても、仕事を辞めてはいけません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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