最近はそうした遺伝子検査の対象が心臓疾患にも広がりつつあります。それまでがんの遺伝子検査を展開していた米国のある企業が、「心臓の構造や機能に関係する遺伝子を調べ、遺伝性の不整脈、心筋症、動脈硬化などのリスクを明らかにする」と発表しました。リスクを早期に認識することで、心臓発作などの命に関わる突然の発症を予防するのに役立つとしています。
■リスク因子を把握
たしかに、遺伝子検査は心臓疾患の予防に対してかなり有効だといえます。そもそも、心臓疾患は「家族歴」が発症に大きく関わっているといわれているからです。海外の研究では、両親がともに心臓疾患の人は、そうでない人に比べて2倍も心臓疾患を発症しやすいと報告されています。また、片親だけが心臓疾患の場合には、父親よりも母親が心臓疾患である人の方が、そうでない人に比べると発症率は1・5倍だったこともわかっています。子供は両親から何かしらの心臓疾患のリスク因子を引き継いでいて、それは世代を経るごとに濃くなっていくと考えていいでしょう。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」