もっとも、心臓疾患そのものが遺伝と関係があるというよりは、心臓疾患のリスク因子が大きく影響しているといえます。心臓疾患の代表的なリスク因子は「高血圧」「高コレステロール」「高血糖」です。いずれも生活習慣病といわれるもので、これらの因子が重なれば重なるほどリスクはアップしていきます。こうしたリスク因子と、似通った生活習慣が伝わることで、子供は心臓疾患を起こしやすくなってしまうのです。
祖父母や両親が高血圧が原因で心臓疾患を発症したとすれば、子供は高血圧の体質と生活習慣を引き継いでいる可能性が高いといえます。高コレステロール、高血糖も同様です。つまり、近い親族に心臓疾患で亡くなったり、心臓手術を受けた人がいる人は、心臓疾患を招きやすい“土台”が出来上がっているわけです。
それならば、高血圧、高コレステロール、高血糖の原因になっている遺伝子を検査で把握すれば的確に対策できることになりますが、そう簡単ではありません。近年、それぞれの原因だと考えられる遺伝子はわかってきているのですが、その種類はたくさんあって、決定的なものはまだはっきりしないのが現状です。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」