軽い病気と思っていたら…糖尿病患者は感染症を甘く見ない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ある50代の女性は9月ごろからせき込むようになった。2週間経っても、せきはやまず、熱もあった。「肺炎かもしれない」と考え、近くの呼吸器内科のクリニックを受診。問診と喉の検査、X線撮影を行ったが、「肺に影があるようだが、病名はわからない」と言われた。

「より詳しい検査をした方がいい」と別の病院を紹介されCTを撮るなどしたが、やはり診断はつかなかった。仕方なく大学病院の呼吸器内科の門を叩いたが、やはり「肺炎かどうかはわからない」と告げられた。

 それでも、1カ月間検査を続けた末、ようやく病名が判明した。予想した肺炎でなく「肺化膿症」だった。延べ20万人の糖尿病患者を診た、糖尿病専門医で「エージーイー牧田クリニック」(東京・銀座)の牧田善二院長が言う。

「肺化膿症とは、肺に感染した一部が壊死に陥った化膿性炎症です。原因菌は各種嫌気性菌のほか黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌などです。食べ物が誤って気管に入る誤嚥が原因になることが多い病気で、原因菌の多くは口腔内の偏性嫌気性菌であることが多いといわれています」

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