天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

新タイプのコレステロール降下薬は2週に1度の自己注射で効果があるが

順天堂大学医学部付属順天堂医院の天野篤院長(C)日刊ゲンダイ

 心臓疾患を抱える患者さんに対してよく使われるクスリには、前回取り上げた抗凝固剤のほかに「コレステロール降下薬」があります。とりわけ、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患を一度発症した患者さんにとっては、再発予防のために欠かせないクスリです。

 コレステロール降下剤は、1970年代に日本の遠藤章医師が発見した「スタチン」の系統にあたる薬剤が多く使われていますが、近年、新しいタイプが登場し、副作用が少なく効果の高い薬剤が増えつつあります。やはり、抗凝固剤と同じように古いクスリと新しいクスリには大きな価格差があるのが現状です。

 1989年に発売されたスタチン系の中でいちばん古い「メバロチン」は、一般的な効果を出すための通常用量は1日1錠で70円、1カ月で2100円になります。3割負担の場合、患者さんの自己負担額は約600円です。

■副作用を見極められる医師にかかることが大切

1 / 4 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事