Aさんは、約3週間後には血小板数が16万7000まで回復し、貧血と全身痛も改善しました。そして、1カ月後には退院して、職場復帰できたのです。病気が完全に治ったわけではなく、約6カ月後には再度悪化しましたが、こうした治療は緩和的化学療法としてとても有用でした。
1月3日の午前中、入院しているAさんを診察し、ようやく落ち着いてきたのを確認して安心できた私は、午後から一家4人で近くの神社に初詣に行きました。その帰り道、着物姿の幼い娘と息子は何も知らないのですが、破魔矢の鈴の音に合わせて私と一緒に大声で「大丈夫だ! 大丈夫だ!」と繰り返しながら歩きました。妻は「恥ずかしい」と呆れていました。
「標準治療がすべてではない」、そんなことを考えさせられる思い出です。
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