がんと向き合い生きていく

かつて温熱療法の臨床試験を行ったところがん患者の生存期間は有意に長かったが

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 温熱療法の局所・領域加温に対しては保険適用があります。しかし、温熱療法は日本ではがん治療における標準治療としての位置づけが明確にされていないこともあって、それほど普及してはいません。

 また、補完代替的な治療として、いろいろな方法で行われている現実もあります。

 日本ハイパーサーミア学会では、温熱療法のさらなる普及や診療レベルの均てん化のために、テーマとして「エビデンスに基づく温熱療法」を掲げ、診療ガイドラインの存在が不可欠であるとして現在作成中のようです。

 温熱療法として体を温めるとはいっても、温泉に入ってがん細胞を殺すまで温めることは無理なのですが、私は、かつて「末期がんが治った」と話題になった秋田県の玉川温泉を見に行ったことがあります。駐車場に止まっているクルマのナンバーを見ると、全国各地から患者さんが訪れていることを示していました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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