糖尿病治療の“定番薬” 意外な「効果と副作用」を医師解説

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ところが、94年に米国食品医薬品局(FDA)が安全性を確認。98年に血糖値を正常に近づけることが心血管イベントを抑制できるかを調べた大規模臨床試験でメトホルミンの有効性が再評価されてから状況は一変。インスリン抵抗性を改善するなどの臨床結果が次々に発表され、2005年には国際糖尿病学会のガイドラインでは腎機能障害がなければ2型糖尿病の患者に最初に使うべき治療薬と認定されている。

「今では血糖値が下がるだけでなく、体重維持につながる、長期間使用した患者はその他の薬剤を使った患者よりがん罹患率やがん死亡率が低いことなどが判明。アンチエイジング効果があるという報告もあります」

 昨年の日本糖尿病学会学術集会では神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科学の小川渉教授が糖尿病患者にメトホルミンを投与すると80種類以上の腸内細菌の種が変化し、メトホルミン使用者の便を糖尿病マウスに移植すると血糖値が改善したと報告している。

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