進化する糖尿病治療法

血液検査は正常 それでも心筋梗塞のリスクが高い人は?

坂本昌也准教授(C)日刊ゲンダイ

 ところが、急に外来に来なくなってしまいました。何かあったのかと気になっていたところ、2、3カ月ほど経って再び外来を受診されたのです。

「先生、大変でした」

 その患者さんは言います。ワケを聞くと突然、心筋梗塞に襲われ、別の病院に救急搬送され、そのまま入院していたとのこと。あぁ、この患者さんも……。私はそう思いました。このようなケースは、決して珍しいことではないのです。

 この患者さんは、東京慈恵会医大糖尿病・代謝・内分泌内科を受診する前に、2つの病院にかかっていました。最初の病院では糖尿病の治療を受けており、薬の効果もあってある程度数値が下がっていた。その次の病院では脂質異常症の治療を受けており、やはり薬の効果で数値が基準値以内におさまっていた。その過程を経て、私の外来を受診されるようになったのです。つまり、私の外来に来た時には、これまでの糖尿病、脂質異常症の治療の結果が反映され、血液検査だけを見ると“問題なし”。管理栄養士の食事指導も受けていましたから、より血糖コントロールは良くなっていたのです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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