見えてきた認知症のメカニズム 悪玉腸内細菌が脳を壊す

善玉菌では進行が抑えられる(C)日刊ゲンダイ

「脳内の細胞は神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(グリア細胞)とに大別されます。情報処理を担うニューロンを支えるのがグリア細胞で、その中のひとつがミクログリアです。脳の免疫細胞として神経組織がダメージを受けた時などに活性化し、修復や排除を行うのが仕事です」

 これまで脳にはミクログリアしか免疫細胞は存在しないといわれてきた。血液脳関門というゲートがあり、脳に入ってくる物質を厳重に制限していると考えられていたからだ。

「そのため、脳には“免疫特権”があり、免疫系の不可侵領域であるといわれてきたのです。ところが、新たに脳と脊椎を覆う硬膜の中にリンパ管が、脳血管の周囲には脳脊髄液や組織間液などが流れるグリアリンパシステムが発見された。Aβやタウがここから排出されるだけでなく、全身の免疫がこれらの抜け道を通して脳を変えるほど大きな影響をもたらしていることも明らかになったのです」

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