がんと向き合い生きていく

「経済毒性」がん治療による経済的な副作用も考えるべき

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 病気になった時は、遠慮なく病院の相談室(相談支援センター)で相談し、可能であればできるだけ公的医療費助成制度を利用すべきだと思います。

 がん診療拠点病院では、他の病院に通院している患者でも相談にのってくれます。

 混合診療(保険診療と保険外診療)、世帯合算、限度額適用認定証、高額医療・高額介護合算療養費制度、無料低額診療制度など、さらには休職時の傷病手当金、復職・就労の継続といったさまざまな相談を受け付けています。ハローワークからの出張相談を行っている病院もあります。いずれにしても、まずは相談してみることをお勧めします。

 気になるのは、AYA世代(15歳以上40歳未満)では、40歳未満であるため介護保険が適用されず、在宅サービスを利用する際の経済的負担や、介護する家族の負担が大きいという問題があることです。この世代の患者は、学生、会社員、子育ての最中など、さまざまな状況でがんに罹患しています。以前から言われているのですが、国はこの世代のがん患者に対する負担軽減を急ぐべきと思います。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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