Gさんも付き添った奥さんも、唖然として言葉が出ません。しばらく沈黙が続いた後、さらにN医師に言われました。
「抗がん剤が効いたとしても、それほど長くも生きられないと思いますし、無理して治療しても意味がないかもしれません」
さすがに我慢できなくなった奥さんは、「ほかの病院に行きます。すぐに紹介状を書いてください」と厳しい口調で詰め寄りました。結局、Gさん夫婦はそれから2時間ほど待って紹介状をもらい、Aがん病院を後にしました。
2人ともとても不安で暗い気持ちでしたが、遅くなった昼食を取ろうと近くの食堂に入りました。テーブルに座ると、Gさんは憤慨しました。
「せっかくM病院で尿管にカテーテルを入れてもらって、やっと抗がん剤治療ができると思ったのに……。N医師の『私は大丈夫だと思うが病院の決まりだからできない。この病院に居られなくなる』とはどういうことだ」
がんと向き合い生きていく