進化する糖尿病治療法

糖尿病の発症1年未満は膵臓がんの発症リスクが5倍高い

定期的な検査で血糖をチェック(写真はイメージ)

 なお、糖尿病がある人は膵臓がんの発症リスクが2倍高くなるといわれています。特に要注意は糖尿病発症1年未満で、膵臓がんの発症リスクが5・38倍高いといわれています。血糖コントロールが悪くなった場合は、速やかにがんの検査を受けるべきです。

 もし、主治医に「薬を増やして様子を見ましょう」と言われたら、「がんが心配なので、検査を受けたい」と伝えることをお勧めします。

 日本で行われた糖尿病とがんの関連に関する国内最大規模の調査によると、膵臓がんのほかに、男性では胃がん、大腸がん、肝臓がん、腎臓がん、女性では胃がん、肝臓がんが糖尿病と関連しています。2010年に米国糖尿病学会と米国がん学会が発表したコンセンサスリポートでは、糖尿病治療に欠かせない生活習慣改善は、がんのリスクも減少すること。そして、糖尿病患者が適切にがんのスクリーニングを受診するよう医療者は推奨すべきであること、としています。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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