Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

効果は0.1%…厚労省のデータで判明したゲノム医療の現実

検診で早期発見するのが大事(C)日刊ゲンダイ

 そのゲノム異常を調べるのが遺伝子検査。そこで得られた遺伝子変異に効果的な治療薬を使うのが目的です。そんなゲノム医療は、オーダーメード医療として期待値が高いのは事実でしょう。

 手術が受けられず、抗がん剤も放射線も効かないがんでも、この検査によって効果的な薬が見つかり、完治に近い状態に改善したケースは確かにあります。でも、問題点も多いのです。

■重要なのはメタボ対策と検診受診

 そのひとつが、保険適用の対象の狭さ。

 手術、放射線、抗がん剤の標準治療が存在しない希少がんや原発不明がん、そして標準治療を終えて選択肢がなくなった方。2019年にがんと診断されるのは約102万人と予測されますが、対象者は約1万人ですから、せいぜい1%なのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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