上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「脳卒中・循環器病対策基本法」では生活習慣の改善を重視

順天堂大学医学部心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 たばこを吸うとニコチンが自律神経を刺激して血管を収縮させ、血圧が上がります。さらに動脈硬化のもととなる血液中の脂肪酸も増やしてしまいます。また、たばこの煙に含まれる一酸化炭素が血液中に入ると、酸素を運んでいるヘモグロビンが一酸化炭素と結合し、体内の酸素が不足して心臓に負担がかかります。喫煙は血管にとって大敵なのです。

 ただ、長年にわたって喫煙習慣があった人でも、禁煙して2年以内に心臓病の発症率は非喫煙者と同程度に下がります。心臓を守るために禁煙したい人は医療機関で禁煙治療を受けてみるのもいいでしょう。

 肥満の原因は食生活と運動にあるケースがほとんどです。食生活は1日の摂取カロリーの目標値、1週間の摂取カロリーの目標値を定め、そこに近づくように心がけるだけで改善されますが、ガラリと見直すのは難しいという人が多いでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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